コラム産業用PCと普通のPCの違い

わたしたちは、「産業用PC」/「組込み用CPUボード」の専業メーカーとして   INNINGS製品を法人のお客様にお届けしています。

一般的に「産業用PC」と呼ばれているものに、明確な基準があるわけではないため、
日本語のWikipediaにも「産業用PC」の項目はありません。
「産業用PC」は、FAPC(Factory Automation PC)やIPC(Industrial PC)、産業用コンピュータや
工業用PC、組込みコンピュータやエンベデッドPCなど様々な呼ばれ方をします。PCは処理能力に優れたCPUとWindowsやLinuxなどの汎用OSの組合せで様々なアプリケーションへの適用性が高いことが特徴と言えます。「産業用 PC」も「普通のPC」と同じ様にアプリケーションソフトウェアの応用によって、活用される場所や機能が大きく変化し、そのために多様な呼び方になっているのかもしれません。

*ちなみに英語版にはIPC=Industrial PCとして記事がありますので、参考までに。

https://en.wikipedia.org/wiki/Industrial_PC

では、わたしたちが提供するINNINGSの「産業用PC」/「組込み用CPUボード」とは、いったいどのような製品なのでしょうか?
普通の民生用PCとは異なる、下記のような特長をもった製品がINNINGSの「産業用PC」/「組込み用CPUボード」だと考えています。

1.長期安定供給
2.高い信頼性
3.耐環境性
4.故障原因の追究
5.豊富なI/O

1.長期安定供給

現在、INNINGS製品はすべてインテル社の組込み向けCPU製品群を採用しています。
組込み向けCPU製品群にはいろいろな特徴があるのですが、その一つに長期の供給期間があります。
普通の民生用PCは続々と新モデルが登場し、OSやソフトウェアも比較的短期間で新しいものへと切り替わっていきますが、産業機器などに採用したPCに
もしこのような変化が生じると、機器の入れ替えや動作検証のやり直しなど膨大な手間と時間やお金がかかり、お客様の大きな負担となってしまいます。
そんな不都合が起きないように、インテル社は現在組込み向けCPU製品群の供給期間を、インテル社の発表から10~15年間と規定していて、
INNINGS製品も採用したCPU製品群が生産終了になるまで、継続供給を目指しています。もちろんCPU以外の採用部品も長期安定供給が可能と判断できるようなメーカーや製品を選択し、万が一生産終了になった場合も設計変更を実施することで、「産業用PC」/「組込み用CPUボード」の機能面での差異が生じないように長期間の供給性を維持しています。

*それぞれの製品の具体的な供給期間は、お問い合わせください。

2.高い信頼性

普通の民生用PCは、一般的な事務作業などに使用されるために夜中などPCを使わない時間帯に電源が入っていないことを使用モデルとして、
数年の耐用年数を想定して設計されていると言われています。
一方、わたしたちの提供している「産業用PC」/「組込み用CPUボード」は製造装置やインフラの制御システムなどで使われており、
長時間止めることなく稼働しなければなりません。そのため特に、組込み向けCPU製品群の中から想定する使用条件が合致する製品の選択や電源などの重要な部分について、高耐久で信頼性の高い部品を採用し連続運転を可能にしています。

*組込み向け製品群の使用条件の違いに関しては、次回のコラムでご紹介する予定です。

3.耐環境性

オフィスや家庭で使われることを想定した普通の民生用PCと違い、わたしたちの「産業用PC」/「組込み用CPUボード」は、
さまざまな環境で採用をいただいており、温度だけではなく、粉塵、振動、電磁波の影響など、厳しい設置環境にも対応した設計を行っています。

*それぞれの製品の具体的な動作仕様は、お問い合わせください。

4.故障原因の追究

普通の民生用PCで不具合が発生した場合は、基本的には不具合の解析は行わず、交換か修理のみで原因追求やレポート等は無く対応を終了することがほとんどですが、わたしたちが提供する「産業用PC」/「組込み用CPUボード」ではそのような対応はいたしません。
どの部品が壊れたのか、なぜ壊れたのか、他の製品にも波及するのかなど、採用をいただいたお客様の製品が安定稼働を続けるためには原因の追求が必要なので、INNINGS製品はすべて社内で設計し、日本国内で製造を行っています。故障の解析作業にも設計チームが係ることで、原因もしくは推測される要因の追及をスムーズに実行ができ、対応後には分析の結果と修理内容を記載したレポートを添付してお戻ししています。

5.豊富なI/O

最近の普通の民生用PCでは、周辺機器と言えばUSBでつなぐ製品が多いですが、INNINGSの「産業用PC」/「組込み用CPUボード」には、
RS232CやRS422などのシリアルインターフェースやGPIOなどの汎用I/Oが用意されています。
これは製造装置やインフラの制御システムなどに組込んでお使いいただく際に、既存の施設や機械などとのやり取りに必要で重要なインターフェースです。
業界最小クラスのサイズを実現しながら出来るだけ多くのインターフェースを用意することで、お客様の設計の自由度を高めています。

普通の民生用PCと比べ特殊な条件や環境で使われることの多いINNINGS製品には、このような特徴があります。これら5つの特長を満たすために、普通の民生用PCには使われないような高価な部品を採用することもあり、信頼性試験やサポート体制も充実させています。そのため、普通の
民生用PCに比べると大きなコストがかかっており、販売価格も比較的高額になってしまいます。
しかしながらINNINGS製品は「産業用PC」/「組込み用CPUボード」として、必要な部分に必要なコストを掛けることで、お客様からの期待に応える製品を提供していきたいと考えています。

また「産業用PC」/「組込み用CPUボード」は、情報のリアルタイム性を高め、
IoTやAIを次のステップへと導いていくエッジリッチコンピューティングの担い手としてこれからの成長が期待されています。
この辺りは専門性の高いサイトにも記事が多数出ていますので、今回は代表的な記事のリンクのみを紹介しておきます。

*産業用コンピュータ、IoT化で大きな役割:オートメーション新聞

https://www.automation-news.jp/2020/04/48632/

次回のコラムもお楽しみに。

いままでのコラムのバックナンバーはこちら。

初版:2020/10/1
修正:2023/11/24

/products/innings/case/cat546/detail/case_728.html

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